労働フォーラム】20250407―52
UAゼンセンが新挑戦、全国一律介護産別最賃の創設へ 石破首相が「検討」明言
★UAゼンセンが新たな全国一律介護産別特定最賃の創設を表明し、注目されている。★現在、全国一律の産別最賃(特定最賃)は鉱山の1種類みであり、今後、ケア労働者を対象にした介護・福祉・医療分野へも新たな全国最賃が設定されるかどうか注目される。 ★UAゼンセンは3月31日に開かれた連合の25年度重点政策討論集で、政府の介護報酬の改悪による施設の倒産増や労働条件の悪化に対して人材確保と処遇改善・賃上げ実現へ全国一律の介護.福祉・医療の産別最賃の創設を表明し、連合に支援を要請した。 ★次いで4月4日の連合25春闘中小労組共闘支援集会でもUAゼンセンは「介護産業政策」の一つとして「介護従事者の最低賃金制度の創設」に触れ、国会で田村まみ組織内参議院議員が3月の予算委員会で「特定最低最賃」制度の活用を提起したことを報告した。 ★田村まみ参議院議員(国民民主党)の国会質問は3月17日の参院予算委員会で、「介護をはじめとするケア労働は大変厳しい、人手不足も認識されている。であれば、特定最賃の活用を骨太(方針)に掲げ、労働移動を促しながら最賃1500円の全国平均に近づける道筋をつけてはどうか」と政府を質した。★石破茂首相は答弁で慎重な対応が必要と述べつつ、「「検討」と「政府主導の判断」を明言。★21日には福岡資磨厚生労働相も「検討」を表明した。 ★記者会見でUAゼンセンの永島智子会長は「介護などケア労働者の処遇改善へ全国一律産別最賃の創設を進めたい」と述べた。担当者は「全国一律は金額ではなく、制度としての枠組み」との見解を表。新たな介護産別の設定や組織拡大を重視し、公契約の新設もの産別特定最賃の創設日手「検討したい」と応えている。★連合本部の担当者もUAゼンセンの新たな全国一律介護・福祉・医療の産別特定最賃の創設について「検討したい」と応えている。
★現在ある鉱山の全国一律産別最賃(特定最賃)は「全国非金属鉱業最低賃金」。適用地域は「全国」で、適用労働者は鉱業法の規定する「石灰石」「黒鉛」など14鉱石を採掘する坑内作業に従事する労働者である。 ★産別最賃定は「協約ケース」で設定する場合、「新設」の労働協約では適用労働者の2分の1以上、「改正」の場合は3分の1の申し出が必要となる。「公正競争」で設定する場合は、適用労働者の3分の1以上の合意による申し出でよい。★全国最賃の決定は厚生労働相である。 ★産別最賃の設定は全会一致とされ、都道府県では要件をみたした労使協定がり、公労委員が賛成しても、使用者側委員(とりわけ中小経営団体出身)が最賃の新設・改定の「必要性なし」として、最賃が成立しないケースが増えている。経団連も産別最賃は廃止方向である。 ★今回、UAゼンセンがめざしている新たな全国一律の介護産別特定最賃の決定は、厚生労働相である。福岡厚労働相は「検討」を表明し、石破首相は「政府主導の判断」を明言している。★日本で2種類目となる全国産別最賃が創設されるかどうか、UAゼンセン労使と連合、政府の動向が注目される。(鹿田勝一)
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