JAL解雇撤回争議、会社がlスッラプ訴訟へ暴走
2023-01-19


労働フォーラム【2023年1月15日】日

JAL団交、JHU「業務委託案以外」の解決提案を迫る
ILO勧告、JAL人権方針実行し、被解雇者の優先的再雇用や解決金要求

JALとJHUの交渉が23年明けの1月10日に羽田で行なわれた。組合はILO166号勧告に基づく「被解雇者の優先的再雇用」やJAL人権方針の「国際的な人権基準の尊重」などの実行を迫った。これに対して会社は、解雇は裁判で決着済みなど争議解決交渉に背を向けたような不誠実な対応に終始した。組合は会社に「業務委託案以外に何の回答を考えているのか」と追及し、新しい提案なしには解決しないと迫った。
会社側は、解雇は裁判で決着済みと繰り返している。しかし、一方で最高裁は「違憲、違法の不当労働行為」と断罪しており、会社はポストノウティスに加え、原職復帰とバックペイの責務を守るべきだ。JHU・争議団の要求は、乗務職復帰と損害補填の解決金である。解雇自体が人員削減目標を超過達成し、165人の解雇は必要でなかったという真相も交渉で判明している。

■「業務委託例」の問題など事務折衝をNEWSで配信
JHUは会社の業務委託例について昨年の12月22日に事務折衝を行い、1月6日付けのJHU NEWS NO72〜75でまとめている。追加質問事項は19項目。会社は文書回答を拒否し、組合は交渉進行を妨げる不誠実な対応を指摘した。今後も契約期間2年、業務委託で問題が発生した時の問題処理の方法などについて質すとしている。

■業務委託の悪用企業増える
雇用者責任も使用者責任も避ける隠れみのとして、働く者が「業務委託」とされ、権利行使、権利保障が妨げられるというトラブルが立て続けに起きている。老舗の語学学校アテネ・フランセ(東京都千代田区)のフランス人講師らが有給休暇の取得や、無期雇用への転換を求めたが、業務委託契約との理由で拒否されている。また茨城県内のコロナ療養施設で点滴などの業務を担っていた看護師が、実態は雇用であるものを業務委託契約とされて解雇され、裁判で争っている。政府が、雇用によらない働き方を推奨するなかで、請負契約が、使用者責任を回避するための隠れみのとして利用されている実情が浮かぶ。

■JALが「支援者から社長宅へのハガキは違法行為で法的措置も」と異常な警告に反撃
支援者による社長宅へのハガキ送付は「社長とその家族の平穏を侵害する違法行為である」「今後、同様の行為が繰り返された場合、法的措置を含む方策を講じる用意があることを警告する」とし、組合に対し「葉書の送付行為の停止を求める」とする申入書を12月21日、JALがJHUに送付している。
組合は12月22日、会社との事務折衝で「どういう法律に違反するのか」「あなた方(会社)は、必要のない解雇をして、我々の生活、私的領域を破壊した」「労使交渉だけでは何も解決しない。我々は労使交渉以外に運動もやる」「過去の労働運動の中で、いろいろな争議で支援者が(会社)代表者のお宅にハガキ作戦を行って捕まった人は一人もいない。何の法律に違反しているのか」と反撃した。会社は「〜沈黙〜」とJHU NEWS。
JALの行為はいわゆる「スラップ訴訟」をほのめかしたものといえよう。企業などが、個人、市民、労組、ジヤーナリストの批判や反対運動を封じ込めるために起こす訴訟で、恫喝訴訟、威圧訴訟、いやがらせ訴訟ともいわれている。アメリカで生じた訴訟で,日本では少ない。労働争議では生コン企業、医療法人、私学法人などが起こしているが、会社敗訴や労働委員会で不当労働行為とされ、会社側が断罪されているのが実体だ。これまでの事例でJALのようなグローバル企業が、社長宅へのハガキ送付を違法として、「法的措置を含む方策を警告する」とスラップ訴訟をほのめかすことは異常といえよう。アメリカでは「スラップ訴訟」の規制が進んでいる。(ジャーナリスト・鹿田勝一)【JAL闘争レポート72号】

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